まずは基本的なqsort関数の使い方
クイックソートの特徴
クイックソートの高速なソートアルゴリズムと言われています。
計算量は、\(\mathcal{O}(\log n)\)~\(\mathcal{O}(n^2)\) です。
qsort関数の使い方
■sqrot関数の定義
定義 | void __cdecl qsort(void *_Base, size_t _NumOfElements, size_t _SizeOfElements, _CoreCrtNonSecureSearchSortCompareFunction _CompareFunction) |
ヘッダファイル | stdlib.h |
戻り値 | なし(引数1がソートされた状態となります。) |
引数1 | _Base:ソートする配列のポインタ |
引数2 | _NumOfElements:配列の要素数 |
引数3 | _SizeOfElements:配列の1要素の大きさ |
引数4 | _CompareFunction:ソート方法を定義した関数 |
ポイント
この4番目の関数は、実装者が定義する必要があります。
この関数を定義することで、
- ソート対象の配列の型(int型やfloat型、double型、string型、構造体など)
- ソート条件(昇順や降順)
を実装者が自由に決められます。
■4つ目の引数の定義方法
ソート方法を定義する関数は、実装者が以下のように定義する必要があります。
定義 | int 関数名(const void *n1, const void *n2) |
戻り値 | n1 と n2 を比較した結果を返します。
n1 ⇒ n2 の順に配列が並んでいるとき、 通常の実装 |
プログラム
まずは、簡単なソートアルゴリズムのプログラムです。
- double型の値の配列を昇順でソート
- 配列のインデックスは保存しない
- 配列の要素数、配列の要素の値を、標準入力から読み込み
- 読み込んだ配列のソート前とソート後の値を出力
#include <stdio.h> #include <stdlib.h> #define TYPE double /* qsort関数に渡す比較用の関数(昇順) */ int cmpare(const void *n1, const void *n2) { if (*(TYPE *)n1 > *(TYPE *)n2) { return 1; } else if (*(TYPE *)n1 < *(TYPE *)n2) { return -1; } return 0; } /* 配列の出力 */ void print_list(const TYPE *list, const int n) { for (int i = 0; i < n; i ++) { printf("%lf\n", list[i]); } } int main(void) { /* 1.ソート対象の配列の準備 */ int n; // 配列の要素数 scanf("%d", &n); TYPE *list = (TYPE *)malloc(n * sizeof(TYPE)); for (int i = 0; i < n; i ++) { scanf("%lf", &list[i]); } /* 2.ソート前の配列の出力 */ printf("<BEFORE>\n"); print_list(list, n); /* 3.ソート */ qsort(list, n, sizeof(TYPE), cmpare); /* 4.ソート後の配列の出力 */ printf("<AFTER>\n"); print_list(list, n); free(list); return 0; }
qsort関数に渡す4つ目の引数を、5-14行目のcmpareで定義しています。
実行例
5 4.5 100.0 1.1 3.14 5000.0
<BEFORE> 4.500000 100.000000 1.100000 3.140000 5000.000000 <AFTER> 1.100000 3.140000 4.500000 100.000000 5000.000000
5つの要素を持つ配列を標準入力から読み取り、昇順でソートされていることが確認できました。
別の型にしたければ、3行目のTYPEを違う型にすればOK。
ソートすることはできましたが、ソート後の配列しか得ることができないため、
このままでは、どの要素がどこに配置されたのか分かりません。
そこで、次に、ソート前の配列を構造体にすることで、
ソート前のインデックスが分かるように変更します。
配列のインデックスを保持したクイックソートの実装
考え方
今までは、
TYPE型の値×要素数
の配列についてソートしましたが、
インデックス, TYPE型の要素×要素数
の配列にします。
プログラム
- double型の値とインデックス番号を持った構造体を昇順でソート
- 配列の要素数、配列の要素の値を、標準入力から読み込み
- 読み込んだ配列のソート前とソート後の値を出力
#include <stdio.h> #include <stdlib.h> #define TYPE double /* 配列の要素にする構造体 */ typedef struct { int index; // ソート前のインデックス(要素番号) TYPE value; // ソート対象の値 } element; /* qsort関数に渡す比較用の関数(昇順) */ int cmpare_element(const void *n1, const void *n2) { if (((element *)n1)->value > ((element *)n2)->value) { return 1; } else if (((element *)n1)->value < ((element *)n2)->value) { return -1; } return 0; } /* element型の配列の出力 */ void print_element_list(const element *element_list, const int n) { printf("index\tvalue\n"); for (int i = 0; i < n; i ++) { printf(" %d\t%lf\n", element_list[i].index, element_list[i].value); } } int main(void) { /* 1.ソート対象の配列の準備 */ int n; // 配列の要素数 scanf("%d", &n); element *element_list = (element *)malloc(n * sizeof(element)); for (int i = 0; i < n; i ++) { element_list[i].index = i; scanf("%lf", &element_list[i].value); } /* 2.ソート前の配列の出力 */ printf("<BEFORE>\n"); print_element_list(element_list, n); /* 3.ソート */ qsort(element_list, n, sizeof(element), cmpare_element); /* 4.ソート後の配列の出力 */ printf("<AFTER>\n"); print_element_list(element_list, n); free(element_list); return 0; }
6-10行目で、配列の要素を構造体 elememt で定義しています。
また12-22行目で、qsort関数に渡す4つめの引数を、cmpare_elementで定義し、
構造体 element のソート対象の値(value)で比較をするように書いています。
実行例
5 4.5 100.0 1.1 3.14 5000.0
<BEFORE> index value 0 4.500000 1 100.000000 2 1.100000 3 3.140000 4 5000.000000 <AFTER> index value 2 1.100000 3 3.140000 0 4.500000 1 100.000000 4 5000.000000
ソート前の要素番号が保持されたまま、並び替えができていることが確認できました。
(たとえばソート前の要素0の値(4.5)は、ソート後には要素2になっていることが分かると思います。)」
最後に
閲覧いただきありがとうございました。
要素番号を保持したまま、配列をソートするプログラムを実装しました。
C言語でなかなか見つからなかったので、今回、記事にしました。
お役に立てれば幸いです。
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